マフラーから白煙が出ている・エンジンオイルの減りが早い
オイル上がりの症状と原因、対策を解説します
車のトラブルには予兆や症状があります。振動や異音を感じたり、燃費の悪化などから異常に気付くこともあります。
例えばエキゾーストマフラーからの白煙は、エンジンパーツの摩耗や劣化が進み、内部がダメージを受けてしまうことによってみられる症状のひとつです。このような症状はオイル上がりやオイル下がりなどによってもたらされます。
主な原因の1つは適切なメンテナンスを怠ったことです。言い換えれば、正しいサイクルでメンテナンスすれば避けられたはずの不具合です。そこでここでは、エンジンの白煙の原因と対策、予防策としてのメンテナンスについて解説します。
オイル上がりの症状と原因
オイル上がりにみられる症状とは
オイル上がりが発生すると、主にふたつの症状が現れます。ひとつはマフラーからの白煙です。エンジンを始動させるとき、高回転までアクセルを踏んだとき、坂道でエンジンブレーキをかけたときなど、エキゾーストマフラーの排気に白煙が混じります。
前を走る車の排気に白い煙が混じっていることに気付いたことがあると思いますが、その際エアコンのモードを外気導入にしているとオイルの匂いが室内に入ってくることもあります。あれがオイル上がりに見られる症状のひとつです。
ご自身の車の排気が白くなっていたら要注意です。厄介なのは前を走る車の場合と違って、ご自身が運転する車の白煙には気付きにくく、そのまま症状が悪化してしまうことです。
ちなみに白煙と似たものに水蒸気がありますが、エンジンを始動した直後にマフラーから水蒸気が出るのは異常ではありません。
もうひとつはエンジンオイルの減りが早いときです。オイル上がりが発生すると健全なエンジンに比べるとエンジンオイルはどんどん減っていきます。エンジンオイルが減ると、オイル警告灯が点灯したり、エンジンの振動やノイズが大きくなったりします。こういった症状がみられる場合もオイル上がりの可能性が疑われます。
潤滑の仕組みとオイル上がりが発生する原因
オイル上がりはエンジン内部のパーツが摩耗することによって引き起こされます。本来であればエンジンオイルが各部を潤滑してこの摩耗を防ぎ金属部品が円滑に動くようにしています。
エンジンの下部にはオイルパンと呼ばれる油溜まりがあり、クランクシャフトのカウンターウェイトがここに溜まったエンジンオイルを掻き上げて、クランクシャフトはもちろん、ピストンやコンロッド、シリンダー内壁へとオイルポンプでくみ上げ、潤滑しています。
シリンダー内壁に届いたエンジンオイルはピストンリングによって掻き落とされ薄い油膜だけが残されます。この油膜が潤滑と同時に燃焼室の密閉性を高めますが、このとき、ごく微量のエンジンオイルが混合気とともに燃えるのは異常なことではありません。
ところが、ピストンリングの摩耗が進んだり潤滑不足でシリンダーに傷が付くと、燃焼室に侵入するオイル量が増え、混合気とともに燃える量が増えてしまいます。この現象がオイル上がりと呼ばれるもので、燃焼したエンジンオイルは白煙となって排気に混じります。またエンジンオイルが消費される量が増えて、オイル量が正常時よりも早く減ってしまいます。
オイル上がりとオイル下がりの違い・判別方法
- オイル上がりとオイル下がりの違いとは
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オイル上がりの他に、似たような言葉のエンジンの不具合として、オイル下がり(さがり)があります。オイル上がりもオイル下がりもオイル漏れにあたります。外観から判別できるオイル漏れと区別して、内部漏れとも呼ばれます。このオイル上がりとオイル下がりには共通点があります。オイルが燃焼室に入り込んで混合気と一緒に燃え、排気に白煙が混じることです。しかし燃焼室にオイルが混入するルートがオイル上がりとオイル下がりでは異なります。
オイル下がりはエンジン上部にあるエンジンヘッド側からオイルが燃焼室に侵入します。エンジンヘッドにはバルブシステム(動弁機構)と呼ばれるメカニズムがあり、燃焼室に混合気を送るためのインテークバルブ(吸気バルブ)と、燃焼後のガスが排出されるエキゾーストバルブ(排気バルブ)が並んでいます。インテークバルブとエキゾーストバルブはカムシャフトやロッカーアームで駆動されており、いずれのバルブもバルブステムと呼ばれる軸をもち、この軸がバルブガイドに支えられることでスムーズな上下運動(バルブの開閉)を可能としています。
バルブステムとバルブガイドはいずれも金属部品で潤滑を必要とします。好調なエンジンでは問題ないものの、バルブステムやバルブガイドが摩耗したりバルブシールが劣化すると、ここからエンジンオイルが伝わって燃焼室へと侵入します。燃焼室に入ったエンジンオイルは燃やされて、オイル上がりと同様排気ガスに混ざって白煙となって排出されます。ここでも同様にエンジンオイルの減りが早くなることになります。
オイル上がりとオイル下がりの違いはエンジンオイルが燃焼室へ入ってしまうルートの違いです。エンジンの下、つまりクランクシャフト側から燃焼室に上がってしまうのがオイル上がりであり、エンジンの上、つまりバルブ側から燃焼室に下がってしまうのがオイル下がりです。
- オイル上がりとオイル下がりの判別方法
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オイル上がりとオイル下がりは燃焼室へのオイル侵入のルートこそ違いますが、排気に白煙が混じったりエンジンオイルの減りが早いといった症状は同じです。オイル上がりとオイル下がりを見分ける方法は白煙が多く出るタイミングと言われます。始動時により多くの白煙が出て、その後落ち着いてくるのがオイル下がりで、エンジンの負荷が大きくなったり、回転数が高くなるのに応じて白煙が目立つのがオイル上がりです。ただし、オイル上がりとオイル下がりの両方を併発している可能性もありますので、安易に判断するよりも知識のあるメカニックの診断を仰ぐようにしましょう。
オイル上がりやオイル下がりの対処方法
オイル上がりやオイル下がりの適切な対処とは
オイル上がりやオイル下がりといった症状が一度でも現れたら、エンジンがダメージを受けてしまっている可能性が高く、その場合、エンジンを修理する以外に根本的な解決方法がない場合があります。
オイル上がりであればエンジンを車から降ろして分解し、少なくともピストンリングを交換する必要があります。またオイル下がりであれば、エンジンのヘッドカバーを開けてバルブやバルブガイド、バルブシールなどを交換しなければなりません。ヘッドカバーを開けるのは簡単のように思えますが、タイミングベルトや周辺の補機類脱着をともなう重整備にあたります。
さらには、オイル上がりやオイル下がりといった症状の現れたエンジンは、エンジン各部にダメージが発生していることもあり、エンジンそのもののオーバーホールが必要となるケースも珍しくありません。オイル上がりを修理しようとすると、車種や整備を依頼するお店やディーラーによって費用は異なります。軽自動車のエンジンでも30万円以上が見込まれるので、大きな出費になってしまいます。
オイル上がりとオイル下がりの対症療法
エンジンのオイル上がりやオイル下がりを根本的に解決するにはエンジンの修理やオーバーホールが必要となります。ただし、軽度の症状である場合は、対症療法ともいえる対策で一時的ではありますが改善できるケースもあります。
粘度の高いエンジンオイルに交換する
オイル上がりやオイル下がりの症状を緩和する方法のひとつとして、エンジンオイルの粘度を高くするということがあります。粘度の高いオイルに交換することで、傷が付いてしまった金属パーツの間をエンジンオイルが通過しにくくなったりします。ただし、デメリットもあります。硬いオイルを使うと、冷え込んだ朝にエンジンがかかりにくくなったり、エンジンが吹け上がりにくくなったり、燃費が低下したりすることもあります。
添加剤・ケミカルを利用する
オイル上がりやオイル下がりの低減を目的とした、オイル添加剤を利用する方法もあります。オイル添加剤には漏れ防止剤などが配合されており、内部漏れのほかエンジンの外にオイルが漏れる、いわゆる外部漏れにも効果が期待できるものもあります。
また劣化したバルブシールの密閉性を高めてオイル下がりを防ぐものなどもあります。一定の効果、一時的な応急処置として期待できるものの、お車の症状やエンジンが受けたダメージの進行具合などによってその効果はさまざまですので、添加剤選びについてはお近くのオートバックスにご相談ください。
エンジンオイル上がりは車検に通る?
マフラーから出る排気に白煙が混じっているからといって、必ずしも車検に不合格となるわけではありません。排気ガスの検査ではガソリンエンジンの場合、CO(一酸化炭素)とHC(炭化水素)が基準以内であればパスすることになります。ただし、仮に車検に合格したとしても、オイル上がりやオイル下がりといった症状を放置することは、より大きなトラブルや事故を招くことになりかねません。車検のタイミングであればメカニックの診断に従ってエンジンを整備したりエンジンの載せ替えも検討したいところです。
オイル上がりやオイル下がりの予防策
定期的なエンジンオイル交換が効果的
オイル上がりやオイル下がりには対処方法も存在するとはいえ、最も重要なのはオイル上がりやオイル下がりを予防することです。そもそもオイル上がりやオイル下がりを誘発する原因としては、定期的なエンジンオイル交換を怠ったり、エンジンオイルが減っているにもかかわらずそのまま走行を続けたことが挙げられます。
劣化したエンジンオイルを使い続けたりオイルの量そのものが足りないと、エンジン内部の潤滑が不足して各部にダメージが発生します。このダメージが蓄積してオイル上がりやオイル下がりを発生させることになります。
もちろん低年式車や、過走行車ではオイル上がりやオイル下がりが起こりやすくなるのも否定できませんが、適切にエンジンオイルを管理することによってトラブルの発生を抑えることができます。
おすすめのエンジンオイル交換サイクル
オートバックスでは定期的なエンジンオイル交換をおすすめしています。推奨サイクルとしてはガソリンエンジン車であれば走行距離が5,000kmごと、もしくは半年ごとです。
シビアなコンディションで走行されている場合やガソリンターボエンジン車では走行距離が2,500kmごと、もしくは3ヶ月ごとの交換をおすすめしています。
オートバックスならエンジンオイル交換の予約が便利
定期的なエンジンオイル交換はメンテナンスの要ともいえますが、一方で、「面倒に感じる」「時間がない」「手順がわからない」といった方もいらっしゃると思います。
オートバックスでは24時間365日、いつでもどこからでも公式ウェブサイトやアプリからエンジンオイル交換の予約が可能となっています。
また公式アプリの「車のカルテ」機能を利用すれば、前回交換日と次回交換推奨月が分かるので、うっかりエンジンオイル交換のタイミングを忘れてしまったということも避けられ、大変便利です。
> オートバックス公式アプリをダウンロード
まとめ
マフラーから白い煙が出るようになったら、オイル上がりやオイル下がりの可能性がありますので、すぐにディーラーや整備工場などでメカニックに診断してもらいましょう。オイル上がりやオイル下がりはエンジンオイルの粘度を硬くしたり、添加剤を利用することで症状を一時的に抑えられることがあります。
ただし根本的な解決には至らないので、あくまで対症療法として考えた方がよいケースが多く、エンジンの修理費用は高額になることが避けられません。オイル上がりやオイル下がりの発生を防ぐには定期的なエンジンオイル交換が効果的です。
オートバックスであれば、事前に作業を予約してからオイル交換ができるので、簡単かつスマートにメンテナンスすることができます。オイル選びについても疑問や不安があれば、ぜひお近くのオートバックスまでご相談ください。
- オイル交換とはなにを指す?
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オイル交換の『オイル』とは、一般的に自動車のエンジンオイルを指します。
種類は鉱物油・部分合成油・全合成油があります。
車種やエンジン特性、気候条件をはじめとする地理的な環境、使い方などによって、適合するエンジンオイル粘度が変わります。
安全で快適なカーライフのためには、最適なオイルを選ぶとともに、適切なタイミングで定期的に交換することが大切です。
- オイル交換の頻度を多くするとどうなる?
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エンジンオイル交換をやりすぎることによる問題は特にありません。
シビアコンディションと言われるエンジンに負担がかかるような状況が多い場合は、早めの交換がおすすめです。