エンジンオイルに溜まるスラッジとは？効果的に除去するエンジンフラッシング

エンジンの悪玉、スラッジという言葉を聞いたことがありますでしょうか。

エンジンオイルを血液にたとえるならスラッジは血栓のようなもので、そのままにしておくとエンジンオイルの循環を妨げ、さまざまなトラブルの引き金になりえます。やっかいな存在のスラッジですが正しく対策することで発生を抑え、また効果的に取り除くことも可能です。

ここではスラッジの発生メカニズム、対策、除去について解説します。

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エンジンに悪影響を及ぼすスラッジの正体
エンジンのスラッジが発生する主な理由
スラッジによる悪影響やエンジントラブル
スラッジを発生させないようにするには？
スラッジを効果的に取り除くエンジンフラッシング
エンジンフラッシングの留意点
まとめ

エンジンに悪影響を及ぼすスラッジの正体

スラッジは正式にはカーボンスラッジといい、エンジン内で燃料が燃焼するのにともなって発生する酸化物質のことを指します。簡単に言えば、燃えカスのことであり、すす（スート）とも呼ばれます。燃料が完全燃焼すれば発生は抑えられますが、エンジンは幅広い回転数でさまざまな負荷を担うことになるので、どうしても不完全燃焼となる領域があります。これはガソリンでも軽油（ディーゼル）でも同じです。

このことを前提にして、エンジンオイルには潤滑だけではなく清浄効果も与えられています。発生するスラッジをエンジンオイル内に包み込むようにしてエンジン内に堆積するのを防いでいます。ところが、エンジンオイルが劣化してくるとスラッジに対する対応能力が限界を迎えます。オイルフィルターもスラッジが溜まって目詰まりするようになるとその働きでは除去しきれなくなります。

こうなってしまうとスラッジはエンジンの金属部品が摩耗してできた金属粉やブローバイガス（未燃焼の燃料）などと混ざり、エンジン内部の各部分へ堆積してしまいます。この堆積物はエンジンオイルの循環を妨げることが広く知られておりエンジントラブルなどの原因になります。

エンジンのスラッジが発生する主な原因

原因1. エンジンオイル交換の先延ばし

エンジンオイルの清浄分散作用には限界があり、スラッジが飽和状態（最大限に至っている状態）になると清浄効果が期待できません。そのような状態になる前にエンジンオイルの交換が必要です。

言い換えると、定期的なエンジンオイルの交換を怠り、先延ばしにすることはスラッジの堆積を助長してしまうということになります。

原因2. リーズナブルなオイルを使用

エンジンオイルはベースオイルの違いによって鉱物油、化学合成油、その両方を合わせた部分合成油があります。いずれもベースオイルに清浄分散作用はなく界面活性剤の一種である清浄分散剤が添加されていますが、リーズナブルなオイルではこういった添加剤の効果を期待できないものもありスラッジへの対応能力も低めです。

つまりエンジンオイルは交換すれば何でもよいわけではなく、品質の確かなものを選ばなければならないことになります。

原因3. スラッジの発生しやすい走行

また、運転方法や走行環境によってもスラッジは発生しやすくなります。ここでは代表例をいくつかご紹介します。このような状況でお車を運転されることの多い方は積極的なスラッジ対策が求められます。

・ちょい乗り運転の日常化
短い距離を走っては停止する、いわゆるちょい乗りは未燃焼物質が発生・堆積しやすくなります。

・通勤路など渋滞運転の繰り返し
発進と停止、いわゆるストップ＆ゴーの多い市街地走行もスラッジが発生しやすい走行状況です。

・山岳路など高負荷走行の連続
峠道の長い登り坂などもエンジンの負担が大きくなってスラッジの発生を招きます。

スラッジによる悪影響やエンジントラブル

気になるのは、スラッジをそのままにしておくとどうなるのかという点ではないでしょうか。スラッジの堆積が招く現象やトラブルについて解説します。

メカニカルノイズや振動が大きくなる: 潤滑不足によって異音が目立つようになります。金属と金属の触れる音が大きくなり、そのままにしておくと異常な振動にまで発展することもあります。
パワーが低下したり走行フィーリングが悪くなる: エンジンのかかりが悪くなったり始動してもアイドリングが不安定になります。さらにパワーダウンを感じるようになったりレスポンスが鈍くなるといった症状も現れ、燃費の悪化を招きます。
エンジンオイル警告灯が点灯する: オイルポンプが適正な量のオイルを吐出できなくなり油圧そのものが低下する可能性があります。オイルパンにスラッジが堆積することによってオイルストレーナーが詰まってしまうといったことが原因として考えられます。

エンジンオイルの量をチェックすると問題なく入っているのにオイル警告灯が点灯しているようなケースでは、スラッジによる油圧の低下を疑う必要があります。
エンジンが焼き付いて走行不能になる: エンジンは潤滑と冷却のための構造を備えています。例えば、ピストンを支えるコンロッドなどにオイルを噴射しています。オイルジェットとも呼ばれる噴射口がスラッジによって詰まるとオイルが噴射されにくくなり、深刻な潤滑不足を招くことがあります。

このようにエンジン各部にオイルが行き渡らなくなるとエンジンが焼き付く危険性があります。
エンジンの寿命が短くなる: 潤滑不足のままエンジンが回転を続けると軸受や摺動部など金属部品と金属部品が接触するところの摩耗が進んでしまい、このことによってエンジンの寿命が縮まる可能性があります。

スラッジを発生させないようにするには？

こまめにエンジンオイルを交換する

生活圏が信号の多い街中であればストップ＆ゴーを避けたくても避けられるものではありません。通勤路であれば、渋滞の始まる時間帯よりも早く自宅を出発するといったことぐらいしか対処する方法はありません。

結局のところスラッジの発生を避けられないものとすると、エンジンオイルの定期的な交換こそがスラッジによるトラブルを回避する有効な手段と言えます。

スラッジを効果的に取り除くエンジンフラッシング

スラッジを効果的に取り除く方法にエンジンフラッシングがあります。エンジンフラッシングとはエンジン内部の洗浄のことを指し、次のような方法があります。

交換した新しいエンジンオイルに添加剤を混ぜる

交換したばかりの新しいエンジンオイルに添加剤を混ぜる方式のエンジンフラッシングです。オイル添加剤の洗浄効果が走行を重ねるにつれてじわじわとエンジン内部をクリーンにしていきます。

エンジン各部への攻撃性が低く低年式車や多走行車にも使いやすいといった特徴があります。新しいエンジンオイルに注入するものなのでオイル交換と同時に実施するのがスマートです。エンジンオイルと混ぜるだけなので施工時間が短く作業待ちの時間が短いといったメリットもあります。

■オートバックスで施工した場合の費用と作業時間の目安
費用：4,000円前後〜（※添加剤の種類によって異なりますので、お近くの店舗にお問い合わせください）
作業時間：約15分〜 ※オイル交換の時間のみ

洗浄専用のフラッシングオイルを利用する

一般的なエンジンオイルではなく、清浄分散作用を高めた専用のエンジンオイルを利用するフラッシングです。エンジンオイルをこのフラッシングオイルに入れ替えて一定時間エンジンをアイドリングしてエンジン内部を洗浄します。

あくまで洗浄のためのオイルですので、そのままエンジンオイルとして使用することは出来ません。作業後は新しいエンジンオイルに入れ替えます。これは簡易フラッシングとも呼ばれており、このタイプのオイルを利用するときはシールやパッキンなど非金属部品に対する攻撃性が少ないものを使うことが大切です。

この作業をご希望の際は、店頭にてご相談ください。

■オートバックスで施工した場合の費用と作業時間の目安
費用：2,000円前後〜
（※オイルの種類によって異なりますので、お近くの店舗にお問い合わせください）
作業時間：約20分〜

洗浄専用のフラッシングオイルではなく、交換前の古いエンジンオイルに添加剤を注入して同様に施工する方法もあります。またこの作業をご希望の場合にはオイルフィルターの交換も必要になりますので、詳しくは店頭にてお伺いください。

エンジンフラッシング専用の機器で清浄する

スラッジナイザーとも呼ばれ、専用の装置を使ってエンジンのオイルライン内部を洗浄しスラッジを除去します。高い洗浄効果に加えエンジン内部を保護するコーティング効果も期待できます。

フラッシングオイルと異なるのは、エンジンを停止した状態で施工するためエンジン内の擦れあう部分を傷めることがない点です。またフラッシングオイルを強制的に圧送するため、簡易なフラッシングでは落とせない汚れに対しても効果があります。

なおこの作業の場合、施工後に新しいエンジンオイルだけでなく、オイルフィルターの交換も必要となります。

■オートバックスで施工した場合の費用と作業時間の目安
費用：6,000円前後〜
（※実施していない場合もございますので、お近くの店舗にお問い合わせください）
作業時間：約30分〜

エンジンフラッシングの留意点

エンジンフラッシングにはエンジンのコンディションをアップさせるメリットのほか留意しておきたいポイントがいくつかあります。

エンジンオイル交換を怠っていた多走行車は故障のリスクがある: 定期的なエンジンオイル交換を怠っていた車はエンジン内部に多量のスラッジが堆積しています。これらのスラッジがエンジンフラッシングによって剥がれオイルの循環ラインを詰まらせてしまうことがあり、この結果エンジンが正しく潤滑されなくなりトラブルを招くリスクがあります。
エンジンオイルの漏れ、にじみが発生することがある: 低年式車や多走行車はエンジンのガスケットやパッキンが劣化している場合があります。洗浄能力の高いフラッシングオイルを使うとガスケットやパッキンの隙間からエンジンオイルがにじんできてしまうことがあります。

まとめ

スラッジを効果的に除去することでエンジンのグッドコンディションを保つことができます。そして定期的なエンジンオイルの交換を欠かさないことがなにより大切です。

適切なタイミングでのオイル交換はスラッジの発生や堆積を抑制することができ、そのことによってフラッシングのリスクを減らしつつ効果的にエンジン内部をクリーンにすることができます。

オートバックスでは定期的なエンジンオイル交換のおすすめと、フラッシング等のエンジンを良好に保つサービスを通じて、お客様の快適なカーライフを全力でサポートいたします。

オイル交換の予約はできる？: オートバックス公式アプリ、またはWEB、お電話にて承っております。
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