エンジンオイルの夏季・冬季の正しいオイル保管と管理方法とは?
3ℓ缶や4ℓ缶を購入してエンジンオイルを交換する時、ちょうど使い切れればよいのですが少し余ってしまうといったことは珍しくありません。この余ったオイルは使えるのか、使えるのならいつまで使えるのか? 正しい保管方法は? ここでは余ったエンジンオイルの疑問についてお答えします。
余ったエンジンオイルの利用方法は?
店頭でエンジンオイルを交換した時、余った分はお店に引き取ってもらうことが可能ですが、今お乗りの車のエンジンオイルの減りが早い場合など、余ったエンジンオイルを自宅に持ち帰り必要に応じて継ぎ足すといった有効活用も可能です。なかにはエンジンオイルをペール缶(20リットル缶)でまとめて購入して使いたいという方もいらっしゃるでしょう。そういった場合に気を付けたいのがエンジンオイルの保管です。正しく保管することでエンジンオイルの利用期限を保つことが可能になります。
エンジンオイルの自宅保管は消防法の規制を受ける?
一般的に、市販されているエンジンオイルは潤滑油として第4石油類に分類され、「1気圧において引火点が200度以上、250度未満の引火性液体」にあたります。指定数量以上を貯蔵、取扱う場合は消防法等の規制を受けますが、エンジンオイル交換後に余った量であればこれに該当しません。
使っていないのにエンジンオイルの劣化が進む原因
エンジンオイルは使っていなくても劣化が進みます。劣化の主な原因は「エンジンオイルが空気に触れることによる酸化」で、空気中の水分が混入してしまうことが挙げられます。多くのエンジンオイルには酸化防止剤が含まれてはいるものの、保管に際しては劣化が進行しないように工夫することが必要です。
夏季・冬季を通じて冷暗所が保管の基本
自宅に持ち帰ったエンジンオイルは夏季・冬季を通じて冷暗所で保管するようにします。理由のひとつは、エンジンオイルが紫外線を嫌うためです。直射日光による紫外線を浴びることによってオイルの劣化が早まります。エンジンオイルが透明な容器で販売されていないのは、これが理由です。また、炎天下で高温にさらされるのでエンジンオイルを車のトランクルームなどに保管するのはオススメできません。
開封したエンジンオイルに結露は大敵
エンジンオイルの保管で最も注意すべきは水分の混入です。水分の混入を避けるには空気に触れさせないこと、そして容器の内部に結露を発生させないことが大切で、保管にあたってはひと工夫することで水分の混入を可能な限り防ぎたいところです。
- 容器のフタを密閉させる
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ボトルタイプであればしっかりとキャップを締めるようにし、また4L缶であれば封冠(キャップ)がパチッというまで確実に封をします。フタと容器の間にサランラップを挟むようにすると密閉性が上がり水分の混入を減らすことが可能です。
小さな容器に移し替える
余ったエンジンオイルが少ない場合、缶の中はほとんどが空気ということになってしまいますので、このような時はオイルを小さな容器に移し替えるようにします。こうすることで容器の中の空気に含まれた水分や酸素がエンジンオイルに与える影響が少なくなり酸化と劣化の促進を抑えられます。余ったエンジンオイルや塗料の保存に適したブリキ製の缶が市販されており、容量も0.5L〜1.8Lなど多彩なバリエーションがあります。その際は必ずキャップで密閉できるものを用意しましょう。
オイルジョッキに入れっぱなしにしない
エンジンオイルを注ぎ足すにはノズルの付いたオイルジョッキが便利です。市販のオイルジョッキは中に入っている量が見やすいために半透明であり、密閉性も低いものが多くなっています。便利ではあるものの、エンジンオイルの劣化を防ぐ意味ではオイルジョッキに入れたまま保管するのは避けるようにします。
開封したエンジンオイルの使用期限
一般的には半年程度と言われることがありますが、前述のように容器を移し変えたりといったひと手間を惜しまないことでエンジンオイルの使用期限を延ばすことも可能です。
- 未使用・未開封のエンジンオイルの場合
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未開封のエンジンオイルであれば、使用期限は3年とも10年とも言われています。使用期限の幅が広いのはエンジンオイルの組成などによって寿命にバラツキがあるからです。
- 高性能エンジンオイルの一種「エステル」系は使用期限が短い?
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高性能エンジンオイルの一種であるエステル系は使用期限が短めと言われています。エステル系は動植物油であり、他のエンジンオイルに比べて吸湿性の高いものがあります。水分と混じって乳化しやすく、また空気中の酸素に触れると酸化しやすい傾向にあります。ただし、水分を吸収しにくいエステル系もあるのに加え、エステル系であってもエステルの含有量が少ないのであれば他のエンジンオイルと違いはありません。
使用期限の過ぎたオイルはどうなる?
開封したエンジンオイルの劣化の進行具合を判断するのは難しいものです。ただし、劣悪な条件で長期保管していたものについては以下のような変化がみられることがあります。
・腐ったような臭いがする
・分離して層になっている
・乳化している
上記のような変化が見られなくても、一度開封したエンジンオイルは1年以内に使い切ることをオススメします。
余ったエンジンオイルを他のエンジンオイルと混ぜてはダメ?
同じ規格やグレードであれば、ブランドや銘柄が違ってもエンジンオイルは混ぜても問題がないように開発されています。このことはAPI規格にも規定されていますが、新しいフレッシュなオイルと長期保管していたオイルを混ぜるのはオススメできません。
使用期限を過ぎたエンジンオイルの廃棄方法
保管していたエンジンオイルが使いきれなかったり、長期保存によって劣化してしまったエンジンオイルは廃棄するようにします。廃棄の方法は以下のようなものがあります。
- 購入したお店にお願いする
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エンジンオイル交換をした店舗に持参して廃棄を願い出ましょう。購入時のレシートがあれば引き取ってもらえる可能性が高いと言えます。
ゴミの日に出す
自治体によってはゴミとして出すことが可能です。一般的にはオイルパックと呼ばれる処理材にエンジンオイルを吸わせて廃棄しますが、ゴミとして処理することを認めていない自治体もありますので必ず事前に確認するようにしましょう。
保管を嫌うのなら「エンジンオイルの量り売り」がオススメ
そもそも余ったエンジンオイルを持ち帰りたくないという方もいらっしゃると思います。最近の車はエンジンオイルの消費(減り)も少なく、継ぎ足す機会も少ない傾向にあります。持ち帰りをしたくない方には、缶やボトルに入ったオイルを購入するのではなく、エンジンオイルの量り売りの利用がオススメです。量り売りであれば車のエンジンオイル交換に最適な量だけ購入できるのでエンジンオイルが余ることもありません。ちなみにエンジンオイルが少しだけ余ったからといって、エンジンごとに定められた規定量より多く入れるのは厳禁です。エンジンの性能を損なうだけでなくエンジンそのものにダメージを与える可能性もあります。
まとめ
無駄なくエンジンオイルを使い切ることは環境にもお財布にも優しい習慣です。正しく保管することが前提にはなりますが、エンジンオイルを適時継ぎ足して常に適量を保つことはエンジンのコンディションを維持する上でも大切です。もちろんエンジンオイルを足したからといって、エンジンオイルの交換時期は延びません。必ず定期的にエンジンオイルを交換することをオススメします。またオートバックスでは量り売りのエンジンオイルもバリエーション豊富にご用意していますのでこちらも是非ご活用ください。
- オイル交換の費用は?
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目安工賃・目安作業時間は下記よりご確認ください。
※車種・作業内容によって変わります。
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- オイル交換の「オイルフィルター交換なし」「オイルフィルター交換あり」の意味は?
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オイル交換と同時にオイルフィルター交換をご希望される場合は、「オイルフィルター交換あり」を選択ください。
※オイルフィルターの交換目安はオイル交換2回に1回または、1年に1回の交換をおすすめしております。
オイルフィルターの役割を詳しく知りたい方や、なぜ交換しなければならないのか、どの頻度・時期に交換する必要があるのかを知りたい方は、以下のページをご参照ください。
オイルフィルターの効果とは?交換時期・頻度、種類まで解説!