車検で気になる車高や最低地上高とは?測定方法や灯火類の基準を解説

車検に通る、通らないで不安に感じられたことがありますでしょうか。車検ではお車が道路交通法に定められた保安基準を満たしているかチェックされますが、さまざまな保安基準がありひとつでも適合していないと車検に合格することができません。そんな基準のひとつに車高があります。車高が高い、低いという時、主に最低地上高を指します。この最低地上高にはどのような基準があるのか、また車の屋根の高さを示す全高や灯火類についても定められている、車検にまつわる「高さ」について解説します。

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車検に通る車高の基準とは?

最低地上高が保安基準に定められている理由は「安全」のため

道路運送車両の保安基準第3条には、最低地上高について次のように定められています。 「自動車の接地部以外の部分は、安全な運行を確保できるものとして、地面との間に告示で定める間げきを有しなければならない」 つまり、適正な最低地上高を確保することは車を安全に走らせるのに不可欠なものとされています。

最低地上高が足りないと、路面の段差で下回りを打ち付けて部品を破損させたり脱落させたりすることになりかねません。実際にエキゾーストマフラーのタイコが衝撃で落ちてしまったという事例もあります。

最低地上高は9cm以上が必要とされる

基本的に車の最低地上高は9cm以上が必要となります。「基本的」にとしたのは、9cm以下であっても構わないとされる部分や、より高い車高が求められるケースがあるからです。このような部分やケースについては「車検でチェックされる車高の場所と測定条件の項目」でご紹介します。

車高が原因で車検をパスしないケース

ディーラーなどで販売されている新車の状態であれば最低地上高が不足していることはありません。では、どのようなことが原因で最低地上高が基準を満たさず車検に不合格になってしまうのでしょうか。次のようなことが考えられます。
サスペンションのスプリングが劣化してヘタっているケース
車を支えるのはサスペンションのスプリングです。スプリングはバネ状のコイルスプリングのほか、板状のリーフスプリング、棒状のトーションバースプリングなどがあります。これらのスプリングが走行中の伸縮の繰り返しで劣化すると、車を支える力が弱くなり車高が下がってしまいます。

対策としては、車検の前に新しいスプリングと交換することが挙げられます。ちなみに同じように劣化するサスペンションのパーツにショックアブソーバーがありますが、こちらは劣化すると車の上下動を収束させる力は弱まるものの、車高下がりとは直接関係ありません。
チューニングやドレスアップでパーツを取り付けたり交換したケース
カーライフをより楽しみたいドライバーを中心に車のチューニングやドレスアップは依然として人気です。車をカスタマイズすることで最低地上高が保安基準を満たさなくなることがあります。具体的にはエアロパーツの取り付け、サスペンションやエキゾーストマフラーの交換などです。対策としては、アフターパーツを選ぶときは、車高への影響が保安基準をクリアできるかを、取り付ける前に確認するようにします。

車検でチェックされる車高の測定条件

車検を前にお車の車高が気にかかるとき、巻尺やゲージなどを使って車の最も低いところを測ることで最低地上高をチェックすることができます。道路運送車両の保安基準には、最低地上高を測る時は以下の条件であることが定められています。
最低地上高を測定するときの必要条件
■測定する自動車は、空車状態とする
運転席はもちろん、誰も車に乗っていない状態にします。またラゲージルームやトランクルームに積まれている荷物もすべて降ろします。

■測定する自動車のタイヤの空気圧は、規定された値とする
タイヤの空気圧が低いと車高が下がってしまい正しい値を測定できないので、適正値に調整します。適正値は運転席のドアを開けたところに貼られているラベルや取扱説明書などで確認できます。

■車高調整装置が装着されている自動車にあっては、標準(中立)の位置とする
車種によってはサスペンションに車高調整機能が備わっていることもあります。仮にハイ、ノーマル、ローといった切り替え式であった場合は、ノーマルに合わせます。無段階に調整できるような場合は調整範囲のちょうど中間の高さになるようにして測ります。

■測定する自動車を舗装された平面に置く
車は平らで舗装された場所に停めて測定するようにします。

■測定値は1cm未満は切り捨てcm単位とする
巻尺などを使った測定結果は1cm未満を切り捨てます。例えば12.5cmであったなら、測定値は12cmです。
最低地上高の測定対象にならない部分
次の部分は、最低地上高を測るときに除外してよいとされています。

■サスペンションやブレーキの一部
タイヤとともに連動して上下するブレーキドラムの下端、サスペンションのロアアームなどの下端は測定対象から除外されます。

■マッドガードなどの樹脂製パーツの一部
マッドガードやエアダムスカート、エアカットフラップなど、フレキシブルな樹脂製のパーツも測定対象になりません。
車高の高さが5cm以上あれば良いとされるところ
フロントタイヤとリアタイヤのホイールベース内であれば、一定の条件の範囲にあり、最低地上高は9cm以上ではなく5cm以上が必要とされています。

一定の条件
・自動車の構造及び保安上重要な装置が接触等の衝撃に十分耐える構造のもの
・自動車の構造及び保安上重要な装置を保護するための機能を有するアンダーカバー等が装着されている構造のもの
9cmよりさらに高さが求められるケースもある
最低地上高は9cm以上必要とご紹介しましたが、厳密にはホイールベースや、フロントタイヤより前、リアタイヤより後ろといったオーバーハングの長さによって求められる高さが異なってきます。具体的に、ホイールベース、オーバーハングのそれぞれに高さを求めるための数式が用意されています。

■ホイールベースの内側の最低地上高を求める数式
「H=Wb・1/2・sin2°20′+4」

■オーバーハング部分について最低地上高を求める数式
「H=Ob・sin6°20′+2」

上記の数式においては、Hは必要になる最低地上高(cm)、Wbはホイールベース(cm)、Obはオーバーハングの長さ(cm)を示します。三角関数正弦の数値については、Sin2°20′=0.04、Sin6°20′=0.11を用います。

例えば、ホイールベースが280cmの車であれば、上記の数式にあてはめるとH=9.6cmになります。これを満たすためには、10cm以上の最低地上高が必要ということになります。車高は9cm以上必要と説明されるケースが多いものの、厳密にはホイールベースなど車種によって異なることも覚えておきましょう。

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オートバックス車検では車検費用のお見積りができます。お乗りになっている車の車高について不安を感じたり、劣化したサスペンションのスプリング交換が必要などといったケースでも、事前の概算のお見積りが可能となっています。また、車検の入庫はもちろん、費用のお見積りもご予約していただくことが可能です。

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車検にまつわる灯火類の高さの基準

車高が下がってフォグランプの位置も低くなったら要注意
車検では車高がチェックされますが、車高の変化が影響するものに、灯火類の高さがあります。とくに2006年1月以降に生産された車種について留意したいのが、フォグランプなどの「前部霧灯」の高さです。保安基準の第121条には次のような基準があります。

・前部霧灯は、その照明部の上縁の高さが地上800mm以下
・下縁の高さが地上250mm以上

仮に車高が下がって、フォグランプの下端が地上から測って250mm以上でなくなってしまうと、車検には合格しないことになります。
最低地上高の測定位置に影響する
最低地上高を測定する場所は、フレキシブルな樹脂製のパーツは対象にならないと紹介しましたが、そのパーツにフォグランプが固定されていると測定対象になります。フォグランプなどが埋め込まれたエアロパーツを装着されている場合も要チェックです。

リフトアップで車高を上げたら車検で注意すべきポイント

プラス4cm以内であれば構造変更の必要がない

リフトアップは、4WDやSUVの車高を上げるカスタマイズです。本来であればリフトアップによって車の高さなどに変更が生じたときは、運輸支局または自動車検査登録事務所で構造等変更の検査を受けなければなりません。

ただし1995年(平成7年)から、パーツ取り付けによる軽微な変更については構造等変更に関する手続きが簡素化されています。高さについては±4cmの範囲であれば構造変更の必要がなくなりました。加えて、取り付けた部品がストラット式ショックアブソーバーなど運輸省の定めた指定部品で簡易的取付、固定的取付の場合は届出の必要はありません。

まとめ

チューニングやドレスアップなど車をカスタマイズして車高を下げた場合、また経年変化によって車高が下がってしまった場合、最低地上高が保安基準に満たないと車検に通すことができません。

また車高が下がったことで灯火類の位置が下がった場合も、車検に影響するので注意が必要です。車高が上がるリフトアップをおこなった場合は、一定の範囲内であれば、構造変更の届出が不要となっています。

車検を前にして、お車の車高について疑問や不安を抱えている方は最寄りのオートバックス各店までご相談ください。オートバックスでは車検の事前お見積りも承っています。ぜひご活用ください。
「車検」と「点検・整備」の違いは?
車検とは安全・環境基準への適合を一定期間ごとに国が検査するものです。一方、点検・整備とは自動車ユーザー(自動車ユーザーから依頼した自動車整備取扱業者を含む)が必要な時(12ヶ月点検等)に自動車を点検し、その結果に応じて必要な整備を行うことをいいます。

なお、道路運送車両法では、日常点検および定期点検の実施が自動車ユーザーに義務づけられていることもお忘れなく。車検のみならず、点検・整備も自動車ユーザーの義務なのです。
どうして車検が必要なの?
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