プリウスのバッテリー交換は他の車種と違うの?補機バッテリーってなに?

「21世紀に間に合いました。」というキャッチフレーズで2000年に発売を開始したプリウスは、ハイブリッド車(ハイブリッドカー)の代名詞とも言える車種です。EVモードでは大きなバッテリー容量を活かしてモーターの駆動だけで走行できるなど、燃費の良さと静粛性の高さで評価されていますが、プリウスのメンテナンスの中でも盲点になりがちなのが補機用バッテリーの劣化です。そこで「プリウスのバッテリー交換は他の車種と違う?」「補機用バッテリーとは?」といった疑問について解説します。

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プリウスに搭載されている2つのバッテリー

大きなメインバッテリーの役割

プリウスが先駆者となったハイブリッド車はエンジンに加えてモーターも搭載しており、両者を巧みに協調させることで低燃費を実現しています。ご存じのようにプリウスにはエンジンとモーターだけではなく、大型のバッテリーが搭載されています。これはメインバッテリー、駆動用バッテリー、走行用バッテリー、ハイブリッドバッテリーなどと呼ばれています。

メインバッテリーの役割はモーターの駆動、エンジンの始動、回生ブレーキによって生まれた電力を蓄えることです。 このメインバッテリーにはノートパソコンなどでもお馴染みのリチウムイオン電池や充電池に使われるニッケル水素電池などが使われており、現行モデルとなる4代目50系プリウスでは3.7Vのバッテリーセルを95個も使うことで総電圧を351.5Vとしています。高電圧で効率良くモーターを回すことができます。

メインバッテリーに加えて補機バッテリーも搭載している

プリウスにはメインバッテリーのほかにも補機バッテリーを備えています。つまり1台で2個(2種類)のバッテリーを搭載しており、補機バッテリーはサブバッテリーとも呼ばれます。

大きなメインバッテリー(高効率バッテリー)を備えているのに、なぜもう1つバッテリーが必要なのでしょうか? これには理由があります。

まず1つは、ハイブリッドシステムを起動する役割を担っていることが挙げられます。またエンジンを切って駐車している間も補機バッテリーがメモリーをバックアップしているので、起動後もすべての設定をやり直す必要がありません。言い換えると、補機バッテリーが上がってしまうとハイブリッドシステムを起動させられないので走り出すことはできません。

もう1つは、その名の示すように補機類のために存在します。4代目のメインバッテリーが総電圧が350Vを超えているのに対して、プリウスに積まれているさまざまな機器は12Vで働くようになっています。例えば、車の頭脳ともいうべきECU(車載コンピューター)、スマートキー、カーナビゲーションシステム、ETC、ドライブレコーダーなどがあります。このようなユニットに対して12V電圧を供給する役割も担っています。

補機バッテリー(サブバッテリー)の交換目安・時期

補機バッテリーは一般の車のバッテリーと同じように劣化する
プリウスに積まれている補機バッテリーの基本構造そのものは一般的な車に積まれている鉛バッテリーと同じです。使用期間や使用状況によって劣化してしまうのは避けられません。補機バッテリーの寿命は3年~5年とされています。バッテリー上がりのトラブルを避けるためにもプリウスの補機バッテリー交換は約3年ごとをおすすめします。

■補機バッテリーの交換目安
約3年ごと

補機バッテリーの選び方

プリウスにはハイブリッド専用バッテリーを選ぶ

プリウスの補機バッテリーは、一般的な車に積まれている鉛バッテリーと基本構造は同じでもハイブリッド専用設計になっています。プリウスの補機バッテリーが格納されているところは4代目の50系プリウスからエンジンルームになっていますが、3代目の30系プリウスまではトランクルームに格納されていました。プリウスのトランクルームは室内空間と繋がっているので車室内にバッテリーがあるのと同じことになります。

鉛バッテリーは充電時に水が水素分解されて水素ガスが発生します。密閉した空間に充満させると危険ですので、これを避けるためにプリウスのハイブリッド用バッテリーにはVRLAというタイプが採用されています。VRLAとはValve-Regulated Lead-Acidの略で、水素ガスの発生が少なく酸素ガスをマイナス極板で吸収するバッテリーです。もし充電などにより水素ガスが発生しても制御弁が開いてバッテリー内部のガスを放出する構造が備わっています。

さらにプリウスの場合、ここに排気パイプを接続することで車室外にガスを排出するようになっています。30系以前のプリウスには必ずVRLAタイプで排気パイプを接続できる補機バッテリーを選びます。一般のバッテリーで代用することはできません。

世代別プリウスに搭載されるバッテリーの型式

プリウスは4世代ありそれぞれ搭載されるバッテリーの型式が異なります。ここではバッテリーの型式を世代別にご紹介します。ご自身のプリウスが何世代目にあたるのかは車検証の型式欄でわかりますが、疑問点があれば最寄りのオートバックスへお気軽にお尋ねください。
4代目プリウス(ZVW50)のバッテリー型式
2015年12月から現行モデルとなったのが4代目プリウス(50系)です。世界トップレベルとなる燃費40.8km/L(JC08モード/Eグレード)を実現するハイブリッドシステムを備えます。

バッテリータイプ(サイズ区分):345LN1(欧州規格)
・容量(Ah 20時間率) 45Ah
・CCA(コールドクランキングアンペア):295A
3代目プリウス(ZVW30)のバッテリー型式
2009年5月のフルモデルチェンジで3代目になったプリウス(30系)。エンジンの排気量が従来の1.5Lから1.8Lへとアップしています。

バッテリータイプ(サイズ区分):S34B20R、S46B24R(一部グレード)
2代目プリウス(型式NHW20)のバッテリー
2003年9月に登場したのが2代目プリウス(20系)です。ハイブリッドシステムのエンジンは排気量1.5Lのままですが、モーターの出力は50kWへとアップしています。

バッテリータイプ(サイズ区分):S34B20R、S46B24R(一部グレード)
初代プリウス(型式NHW10/NHW11)のバッテリー
初代プリウスのハイブリッドシステムは、排気量1.5Lの直4ガソリンエンジンに、30kW(もしくは33kW)のモーターを組み合わせたものです。

バッテリータイプ(サイズ区分):S34B20L

プリウスの補機バッテリーの型式の読み方

バッテリーを選ぶときはバッテリーの型式を照会します。ここでは30系プリウスに採用されている補機バッテリーの型式からその読み方を解説します。ちなみに50系プリウスのバッテリーは型式が「345LN1」であり、欧州統一規格によるものです。
S34B20R
■Sのアルファベット
制御弁式バッテリーであるVRLAであることを示しています。

■数字の「34」
バッテリーの性能ランクを表します。始動性能や容量などの総合性能であり、単位はありませんが大きな数字ほど高性能になります。

■アルファベットの「B」
バッテリーのサイズのうち幅と高さを表します。Bの場合は幅が129mm、高さが203mmを表します。

■数字の「20」
バッテリーのサイズのうち長さを表します。20の場合は長さが20cmあります。

■アルファベットの「R」
バッテリーの端子の位置関係を表します。Rの場合はバッテリーのプラス側端側面から見て端子がケースの左側にあります。Lの場合は右側にあります。

補機バッテリーの交換費用

プリウスの補機バッテリーを交換するには、バッテリーの購入費用に加えて交換のための工賃が必要になります。
補機バッテリー価格の目安(2022年7月時点)
■4代目プリウス(ZVW50)の345LN1
オートバックス専売欧州EN規格 税込30,280円

■3代目プリウス(ZVW30)のS34B20R
税込32,580円前後

■3代目プリウス(ZVW30)のS46B24R
税込45,980円前後

■2代目プリウス(NHW20)のS34B20R
税込32,580円前後

■2代目プリウス(NHW20)のS46B24R
税込45,980円前後

■初代プリウス(NHW10/NHW11)のS34B20L
税込32,580円前後
補機バッテリー取付工賃の目安
■プリウス全車種のバッテリー交換基本工賃
基本工賃税込2,200円(税込)~

※ハイブリッド車の補機バッテリー交換は一般の車よりも作業工程が多いため、基本工賃に加えて追加工賃が発生する場合がございます。最寄りのオートバックスへ事前にお問合せください。

まとめ

プリウスは走行に利用するメインバッテリーとは別に補機バッテリーが備わっています。補機バッテリーは一般的なバッテリーと同じように消耗部品であり、約3年ごとに交換することをおすすめします。プリウスはバッテリーが上がるとハイブリッドシステムが起動できずに走ることができません。補機バッテリーはプリウスに適合する型番のものを選ぶのに加えて、30系プリウス以前はハイブリッド専用のものを必ず利用します。一般のバッテリーでは代用できません。

プリウスのバッテリーについて型番の選び方などわからないことがあれば、お近くのオートバックスへお気軽にご相談ください。オートバックスではバッテリーの電圧チェックなども無料で実施しております。スタッフ一同お客様のご来店をお待ちしております。

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