ミッションオイルの交換 ミッションオイルの交換

ミッションオイル交換の時期・費用・方法などについて

オートマチックが全盛となった現在も、マニュアルトランスミッションを好むドライバーが少なくありません。
そういったドライバーにとって、マニュアルトランスミッションの操作フィーリングはドライブを楽しむための大切な「性能」です。
マニュアルトランスミッションの機能と性能を正しく保つために疎かにできないのが、ミッションオイルの交換です。

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ミッションオイルの役割

マニュアルトランスミッションとミッションオイルの関係

マニュアルトランスミッションは部品点数が多く構造が複雑で、内部では金属部品が高速で回転しています。
その緻密な構造と働きを支えるのがミッションオイルの役割です。
ミッションオイルは劣化する消耗品のため、適切なタイミングでの交換が必要です。
マニュアルトランスミッションの働き
マニュアルトランスミッションは「手動変速機」、イギリス英語では「ギアボックス」とも呼ばれます。
その役割は、エンジンが発生する回転を走行状況にあわせて減速比を変えるものです。
また、逆転させて後進も可能にします。
シンプルに言えば、1速や2速は、発進時・登板時に使用し、5速や6速は高速走行する時に使います。
ミッションオイルの働き
マニュアルトランスミッションはギヤ、シンクロナイザー、シャフト、そしてベアリングなどで構成されています。
いずれも金属でできていますので、ギアとギアの歯が接触しシャフトの摺動する部分がそのままでは摩耗してしまいます。
これを防ぐためにトランスミッションのハウジングにはギアオイルが注入されています。
いわゆる、トランスミッションオイルです。
金属部品を潤滑するのに加え、各部をスムーズに動かすとともに錆を防ぎ、ギアの歯と歯が当たることによって発生する騒音(歯鳴りともいいます)を抑える働きもあります。
ちなみにオートマチックトランスミッションにはATフルードが使われますが、トランスミッションオイルと互換性はなく、代用はできません。
ミッションオイルは交換が必要
マニュアルトランスミッションのオイルは交換が必要です。
マニュアルトランスミッションを構成するパーツは、トランスミッションオイルで守られていても、金属と金属の摺動する構造のため必ず摩耗します。
少しずつすり減り、すり減った部分は金属粉としてマニュアルトランスミッション内に堆積します。
また、一部はトランスミッションオイルに滞留するため、交換しないで使用を続けると、金属粉を含むオイルそのものが金属パーツの摩耗を早めてしまいます。
マニュアルトランスミッションにはエンジンオイルのようなオイルフィルターがなく、磁石付きのドレンボルトが金属粉を吸着するだけです。
また、ミッションオイルはより過酷な環境のエンジンオイルほど汚れませんが、オイルそのものの劣化は避けられず、適正に働くための粘度が維持されなくなるため定期的な交換が必要です。

ミッションオイルの交換時期

マニュアルトランスミッションのコンディションを維持するには、ミッションオイルの交換が不可欠です。
ここでは推奨される交換時期や、使用環境の違いによる交換時期への影響について紹介します。
ミッションオイルの交換時期は3つの条件で判断
ミッションオイルの交換時期は「走行距離」「期間」「使用状況(使用環境)」の3つの条件から判断します。
一般的に、走行すればするほどオイルの劣化は進むので、一定の走行距離ごとに交換しなければなりません。
一方、全く走行しなかったとしてもオイルの劣化は避けられず、この場合は一定の期間ごとに交換しなければなりません。
また、このような走行距離と使用期間に至っていなくても、過酷な使用状況(シビアコンディション)においては、より短距離、短期間でミッションオイルの交換が望まれます。
走行距離2万kmごとにミッションオイルを交換
走行距離が2万kmに達しない場合でも、ミッションオイルの使用期間が2年経過したら交換したいところです。
まったく走行しなくても、ミッションオイルは酸化することにより正しく機能しなくなるのがその理由です。
2年ごとのタイミングなので、使用期間を考えた場合でも車検時に交換することをオススメします。
使用状況によるミッションオイル交換のタイミング
上記の2万km、2年間以外にもミッションオイルを交換するタイミングがあります。
1. 新車の慣らし運転
新車はエンジンだけでなく、マニュアルトランスミッションの慣らし運転が必要です。
また、マニュアルトランスミッションを不具合によって交換した場合、交換後の新品マニュアルトランスミッションはギアとギアの当たりがつくまで各ギアを偏りなく少しずつ負荷を与えて運転します。
ギアとギアが馴染む過程で金属粉が発生し、スラッジとしてマニュアルトランスミッション内に堆積します。
そのため、新車では最初の1,000km点検でミッションオイルを交換するのが理想です。
2. シビアコンディション
シビアコンディションとは、車の負担が大きな使用状況、走行環境のことを指します。
具体的には「年間走行距離2万km以上」「未舗装路などの悪路走行が多い」「頻繁な山道の上り下り」「短距離の繰り返し走行が多い」「渋滞などストップ&ゴー運転が多い」ことなどです。
こういった使用状況においてはミッションオイルの劣化は早まります。
またサーキット走行にも注意が必要です。
サーキット走行では、高回転を維持するためエンジンのみならずトランスミッションも高熱になり、ミッションオイルの油温も140度を超えるようになります。
高熱下でミッションオイルの分子構造は破壊され、もはや適正な粘度が保てません。
サーキット走行が終わったらトランスミッションオイルを交換するのがオススメです。

ミッションオイルの交換方法

ここではミッションオイルの交換方法をご紹介します。
交換作業に必要なツールなどは車種によって異なりますので、お乗りの車のサービスマニュアルなどで確認してから作業するようにしましょう。
ミッションオイルを交換するのに必要なもの
◆作業スペース
水平で凸凹のない平らな場所を選びます。また、土や砂利の上は避けるようにします。

◆手袋、ペーパータオル、パーツクリーナー
作業に必要な消耗品類です。
手袋はゴム製のメカニックグローブを選びます。
ペーパータオルや使い古したTシャツなどをウエスにして代用できます。
パーツクリーナーがあると油汚れやスラッジを落とすのに便利です。

◆オイルトレイもしくは廃油処理ボックス

◆ガレージジャッキ(フロアジャッキ)
車の耐荷重に見合った油圧式ガレージジャッキを選びます。
車高の低い車にはローダウン車適応品やスロープを利用します。

◆リジットラック(ジャッキスタンド)
安全に作業するにはリジットラックが必要です。
車載ジャッキなどでは代用できません。
左右2基セットのものを用意しましょう。

◆工具類
トランスミッションフィラープラグやトランスミッションドレンプラグの脱着、また車種によってはアンダーカバーを外すための工具が必要です。
メガネレンチやソケットレンチ、専用のプラグレンチなど、必要なサイズは車種によって異なります。

◆ギアオイル用オイルポンプ
ギアオイルはトランスミッションの側面から横向きに注入します。
また、オイルそのものが硬いことから専用のオイルポンプを用意しておくと便利です。

◆ガスケットまたはシールテープ
汎用品のシールテープを巻く場合と、サイズの合った円形のパッキンを使う場合があります。
車種によって異なるのでギアオイルを交換する車に合ったものを用意しておきます。

◆適正なギアオイル
取扱説明書やメンテナンスマニュアルに記載のギアオイルを用意します。
粘度は指定のものを利用しますが、使用状況によっては粘度を変えるとベターな場合もあります。お近くのオートバックスにご相談ください。
ミッションオイルの交換方法
◆作業スペースに車を止める
作業に適した水平で平らな場所を選びます。また、土や砂利の上は避けるようにします。
エンジンを止めてギアはリバース(R)に入れパーキングブレーキを固定します。

◆車をジャッキアップする
フロントメンバーなど適正な位置にフロアジャッキをかけ、車を持ち上げて、両側のジャッキポイントにリジットラックをかけます。
各ジャッキアップポイントは間違った位置にかけると車を破損させることがありますので、取扱説明書やサービスマニュアルなどで正しい位置を確認します。

◆アンダーカバーやタイヤを外す
エンジンやトランスミッションなどを覆っているアンダーカバーを外します。
また、前輪駆動(FF)の軽自動車など車種によってはタイヤを外すと作業がはかどることもあります。

◆フィラーボルトを緩める
ギアオイルの注入口であるフィラーボルトをレンチを使って緩めます。
外せることが確認ができたら軽く締め戻します。交換作業に慣れている方は外してしまっても構いません。

◆オイル受けを用意する
オイルを受けるためのトレーやオイル処理パックをドレンボルトの下に用意します。
廃油やオイル処理パックは各自治体の指定に従って処理するようにします。

◆ドレンボルトプラグを緩めてギアオイルを抜く
ギアオイルの排出口であるドレンボルトをレンチなどを使って緩めるとギアオイルが流れ出てきます。
この時フィラーボルトを完全に抜いていると勢いよくオイルが飛び散ることがあります。
オイルの勢いがおさまってきてからフィラーボルトを抜くと残りのオイルが出やすくなります。
また、エンジンを停止して間もないと油温が高いので注意しましょう。
グローブを軍手で代用した場合、高温のギアオイルが軍手に染みると火傷の原因になりますのでその点も注意が必要です。

◆ドレンボルトプラグやフィラープラグ、ドレン周りを清掃する
ドレンボルトプラグは磁石になっていて削られた金属粉が付着していますので、ペーパータオルやパーツクリーナーで拭き取ります。
同じようにフィラープラグやドレンまわりに付いたオイルを拭き取ります。

◆ドレンボルトプラグを取り付ける
ドレンボルトプラグをシールしてから取り付けます。この時ドレンボルトプラグを元に戻すのを忘れて新しいギアオイルを注入すると、そのままドレンボルトから漏れてしまいます。
当たり前のことのように思えますが、ありがちなうっかりミスなので手順を間違えないようにしましょう。

◆車を水平にする
車体を水平にします。こうすることでギアオイルを適量まで注入できるようになります。

◆オイルポンプで新しいギアオイルを注入する
ギアオイル用オイルポンプなどを使ってギアオイルを注入します。注入口から溢れたら適量です。
注入口まわりに付いたオイル汚れを拭き取ってシールしたフィラープラグを締めます。
また、シフトレバーの直下にトランスミッションがある後輪駆動車(FR)では、シフトレバーなどを外して室内側から注入できる車種もあります。
この場合、規定のオイル量を予め計っておく必要があります。ギアオイルは定められた量より少ないのはもちろん、入れ過ぎるのも不具合の原因になります。

◆アンダーカバーやタイヤを装着して完了
取り外した逆の手順でアンダーカバーやタイヤを装着しジャッキから降ろしたら作業完了です。最後に試走してオイル漏れがないか確認しましょう。

※セルフ交換の作業にはリスクがございます。
本記事で紹介した作業によって発生した故障・事故等は責任を負いかねます、ご自身の責任となることを予めご了承いただきますようお願いいたします。

ミッションオイルの性能や交換費用

ミッションオイルには性能の違いがあります。
ミッションオイルの性能はGL規格とSAE規格によって表されます。
まずはミッションオイルを選ぶ時に参考となる規格についてご説明します。

グレードを表すGL規格
米国石油協会(API)がギアオイルのグレード分けのために定めたのが、GL規格です。
GL-1からGL-6まで6等級まであり、数字が多いほどギアの歯と歯の噛み合いによって生じる圧力への耐性が強くなります。
現在、乗用車のマニュアルトランスミッションに利用されるのはGL-4とGL-5であり、グレードから見た選択肢は二つとなっています。

・GL-1
トラックや農業機械のスパイラルベベルギアや、ウォームギアを用いたノンシンクロメッシュのトランスミッションなど、低負荷用に利用されます。

・GL-2
ウォームギアを利用したデファレンシャルギアなどに利用されます。

・GL-3
ベベルギアなどで構成されたトラックのトランスミッションに用いられます。乗用車のトランスミッション、ステアリングギア、デファレンシャルギアへの利用も想定されていました。

・GL-4
多目的用途のギアオイル。シンクロメッシュを備える一般的なマニュアルトランスミッションの基本的なギアオイルとされています。
現在、APIは特定のギアオイルがGL-4に合致しているか潤滑性能をテストすることを取り止めているので、GL-4相当のオイルとして販売されています。

・GL-5
過酷な条件を想定して添加剤を増やした多目的用途のギアオイル。ハイポイドギアのために開発されたもので、マニュアルトランスミッションだけではなく、過酷な条件のデファレンシャルギアにも用いられます。

・GL-6
さらに過酷な条件を想定して添加剤を増やした多目的用途のギアオイルです。事実上、GL-5グレードで十分な性能があり、乗用車向けにGL-6が求められるケースがなくなっています。
GL-4とGL-5の違い
配合される添加物などの違いや量によって、GL-4よりも極圧性を高められたのがGL-5です。
ただし、GL-4よりGL-5が単に高性能なミッションオイルと考えるのは正しくありません。
後輪駆動(FR)のミッションオイルには主にGL-4が用いられますが、前輪駆動(FF)のミッションオイルには主にGL-5が用いられます。
前輪駆動車のマニュアルトランスミッションは構造上デファレンシャルギアがトランスミッションと一体化しており、ミッションオイルはその両方を潤滑しなければならないからです。
また、デファレンシャルギアがリミテッドスリップタイプの場合、より高い極圧性が要求されます。つまり、GL-5はGL-4より多目的用途のギアオイルと考えるのが適切です。
粘度を表すSAE規格とミッションオイルの選び方
ミッションオイルの粘度はSAE規格によって定められています。
ご存知のようにSAE規格ではエンジンオイルの粘度も規定していますが、ミッションオイルとエンジンオイルの粘度測定方式が異なるので両者の粘度表示に互換性はありません。
ミッションオイルには「75W-90」や「80W-90」、そして「85W-140」などといった粘度が使われています。
一般的な後輪駆動(FR)や前輪駆動(FF)では「75W-90」が多く使われています。エンジンオイルと同様ミッションオイルにシングルグレードが使われることは稀で、ほとんどがマルチグレードです。
ミッションオイルを選ぶ際はまずは純正採用されている粘度と同じものを選びましょう。これと異なる粘度を選ぶ時は、シフトチェンジの操作感やサーキット走行の頻度などをもとに店頭で相談してみることをオススメします。
ミッションオイルの交換費用
ミッションオイルの粘度はSAE規格によって定められています。
ミッションオイル交換費用についてご紹介します。ミッションオイルのDIY交換では、車種によって必要な工具類は異なるものの、ミッションオイル購入費を除いて20,000円~の費用で交換可能です。
安全な作業スペースの必要性や廃油の処理といった手間や所要時間を考慮すると、車いじりそのものが好きな方にこそおすすめしたいDIYです。

一方、コストパフォーマンスを考えるとディーラーやカー用品店に依頼するのが合理的です。オートバックスではマニュアルトランスミッションのオイル交換が可能です。
作業時間の目安は20分~。基本工賃の目安は1,500円(税込1,650円)~となります。

まとめ

トランスミッションオイル交換は、マニュアルトランスミッションの車を気持ちよく乗り続けるために必須のメンテナンスです。
オートバックスにお任せいただければ、高いコストパフォーマンスで手軽に交換することができます。
お近くのオートバックスへぜひお越しください。

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