Vol.47
「スタッドレスタイヤへの履き替えはいつごろを予定していますか?」
なぜタイヤで燃費が変わるの?エコタイヤの真実
オートバックス・ドットコムのメールマガジンで「スタッドレスタイヤへの履き替えはいつごろを予定していますか?」というアンケートを実施しました。それによると全体のちょうど半分、50%の方がスタッドレスタイヤには履き替えないと回答しています。寒冷地であれば100%に近いデータになると思いますし、次は地域別でアンケートもしてみたいなと思いました。
さて、雪道でも安心なスタッドレスタイヤですが、一般的に普通のタイヤに比べて燃費が悪いと言われています。タイヤの違いだけで本当に燃費に差が生まれるのでしょうか? そこで今回は燃費を上げるといわれているエコタイヤのメカニズムについてご説明しますね。
なぜ、エコタイヤは燃費が上がるの?
エコタイヤとは環境に優しいタイヤの総称で、低燃費タイヤや省燃費タイヤとも呼ばれています。1993年にミシュランが発売した「グリーンタイヤ」がエコタイヤの原型と言われていますが、その後、国産メーカーでは1995年にブリジストンが「エコピア」を発売。これを契機に多くのメーカーがエコをコンセプトにしたタイヤを次々と発売しています。
通常のタイヤは走行中にクルマの重さによって形が変わります。それを元の状態に戻そうと働く力が路面との摩擦を生み出します。これを転がり抵抗と言いますが、これによってエネルギーロスが起こり、燃費を悪くしてしまいます。
エコタイヤはこの転がり抵抗を軽減させることでエネルギーロスをできるだけ起こさせないようにしたタイヤです。その結果、エンジンへの負担も大幅に軽減され、燃費が向上します。燃費が向上すれば、当然、二酸化炭素排出量の削減につながり、環境に優しくなるということでエコタイヤと呼ばれているわけです。
転がり抵抗って何?
タイヤがゴムを主要材料としていることは皆さんご存知のことと思います。タイヤは上述したように走行中に路面の凹凸によって変形しますが、タイヤの材料であるゴムの化合物には粘りと反発する特性があるため、変形すると元の形に戻るまでに一定の時間がかかります。この時間のエネルギーロスが転がり抵抗です。つまり元に戻るまでの時間が短ければ短いほど、転がり抵抗が少ないということになります。
具体的にはゴムの化合物を構成しているシリカというタイヤに強度をつける部材があるのですが、このシリカ粒子の摩擦で発熱することによって、エネルギーロスが生じます。そこでエコタイヤはシリカ粒子を分散させ、擦れ合わないようにすることで発熱を防ぎ、転がり抵抗を減少させることでエネルギーロスを抑えているのです。
ラベリング制度って何?
環境に配慮しながら低燃費を実現したエコタイヤの普及を目的とし、日本では2009年12月に業界自主基準による「低燃費タイヤ等の普及促進に関する表示ガイドライン(ラベリング制度)」を制定。2010年1月より運用が開始され、2016年9月現在、国内13社がこのラベリング制度対象企業となっています。
ここで定義される低燃費タイヤとは、低燃費性能レベルを表す「転がり抵抗係数」と安全性能レベルを表す「ウェットグリップ性能」で測定されます。転がり抵抗係数はAAAを最高にCまでの5段階、ウェットグリップ性能はaを最高にdまでの4段階に分けられ、転がり抵抗係数がA以上なおかつウェットグリップ性能がd以上のタイヤに関して低燃費タイヤという表現を用いることができます。
それまでは各社の自社基準による情報だけを頼りにしていたため、性能の比較検討が非常に困難でした。しかしラベリング制度がスタートしランク付けができたことで、各社横並びで比較検討できるようになったことは私たち消費者にとって大きなメリットですよね。
このまま低燃費タイヤの普及が進んでいくことで、数年後には低燃費タイヤが標準タイヤになる日もやってくるといわれています。環境に配慮しながら燃費効率も上がる低燃費タイヤ。次にタイヤ交換をされるときにはぜひ、低燃費タイヤの装着を検討されてみてはいかがでしょう?